【癌(がん)の治療】がんの転移 | 医療事故 医療過誤 / 弁護士法人ALG&Associates

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がんの転移

がんの治療 がんの転移

大きく分けてリンパ節転移と遠隔転移

がんの転移には、大きく分けてリンパ節転移と遠隔転移がありますが、ここではいわゆる遠隔転移、すなわち、所属リンパ節以外のリンパ節転移を含む他臓器転移に限定して説明します。

がんの種類により予後に差異はありますが、一般的に遠隔転移があれば腫瘍径のサイズや所属リンパ節転移の有無を問わず、ステージⅣ以上に分類され、予後不良とされています。

生命予後が不良とされている肺がん(特に小細胞がん)はもとより、早期発見できれば根治可能な大腸がんでもステージⅣ以上になれば5年生存率が20%程度まで下がってしまいます。

遠隔転移は生命予後を著しく悪化させてしまうので、なるべく早期に転移巣を発見してもらい、速やかな治療を医療機関にとってもらいたいというのが患者側の切なる思いでしょう。

遠隔転移と医療ミス

しかし、遠隔転移の予後の悪さが医療機関の責任追及を難しくしているという実態があります。

遠隔転移をめぐって医療機関と患者側の間で紛争が顕在化するのは、転移の発見が遅れた場合です。

患者側の心理としては、もう少し転移の発見が早ければ、かなりの延命が期待できたのではないかと考えてしまうのです。

がんの種類によって遠隔転移しやすい臓器というのは確かにあります。

例えば、大腸がんであれば肺転移や門脈を通じての肝転移、肺がんであれば脳・骨転移などです。

しかし、実際にはどこの部位にどのようなタイミングで転移が起こるか分かりません。

だからといって、術後にCTやMRIを毎月行うというのも現実的ではありません。

CTであれば被爆や造影剤の副作用の問題もありますし、MRIにも造影剤の副作用の問題などがあります。そして、何よりも医療費がかさみます。

そして、より本質的な問題としては、仮に転移巣を早期に発見したからと言って、どこまで生命予後を改善できるのかという問題があります。

仮に肺がんで肝転移を早い段階で発見できたとしましょう。

転移巣に対する治療が一時的に奏功したと思ったら、次は骨転移、脳転移という具合にがんは容赦なく猛威を振るい、転移は全身に広がって行きます。

がん転移と裁判例

がん転移に対する治療が医療機関の何らかの過失で遅れたとしましょう。

例えば、CTやMRIなどの画像診断が適切なタイミングで行われなかったとか、腫瘍マーカーによる補助診断を怠っていたとか、あるいはCTやMRIを適切な時期に実施したにもかかわらず、画像に写っている転移巣の結節を見落としたような場合です。

この時に医療機関の過失を立証できたとしても、生命予後の悪化との間に因果関係はあるのかという形で論争になります。

なぜならば、医療機関の過失と発生した悪しき結果との間に因果関係がなければ医療機関の責任は否定されますが、転移が起こっている場合、早期に処置したからといって予後改善に大きく影響することは少ないからです。

東京地判平成8年10月21日の判例は、まさに医療機関の過失は認めたものの、患者の死亡との間の因果関係を否定した判例でした。

この事例では、胸部レントゲン撮影や骨シンチ、肝臓超音波、CTなどの各種検査を積極的に行う義務があるのにこれを怠ったとして医療機関の責任を認めたのです。

しかし、がん転移の予後の悪さを考慮して、患者の死亡との間の因果関係は否定しました。

もっとも、がん転移を早期に発見して適切な治療を施していれば延命の可能性はあったわけですから、この延命利益との間の因果関係は認めたのです。

但し、このような延命利益の侵害に対する保護は必ずしも患者側にとって十分なものとは言い難く、この判例でも認められた慰謝料は300万円です。

このように転移事例では、医療機関の過失が認められたとしても、因果関係は延命利益との間で肯定されるのが精一杯で、賠償額も少額になってしまうという事情があります。

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