【癌(がん)の治療】がんもどき | 医療事故 医療過誤 / 弁護士法人ALG&Associates

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がんもどき

がんの治療 がんもどき

後にがんではなかったことが判明

画診断、生検、細胞診などを経てがんであるという確定診断を経ているのに、外科的手術などの治療行為をなしたところ、後にがんではなかったことが判明することがあります。
このように、がんではないのに、がんのように見えてしまうものを「がんもどき」と言います。

がん治療は、手術治療はもとより、放射線療法や化学療法も一般的に生体に対する侵襲性が高いです。

例えば、肺がんであるという確定診断を経て肺葉を切除したとしましょう。

手術後に肺がんではなかったことが判明すれば、一見安心できそうに思えますが、肺葉が切除されています。

現代の肺がん手術では、再発予防のために、がん細胞だけではなく、癌細胞を含めた肺葉全体を切除してしまいます。

当然、術後、患者の呼吸機能は大きく低下せざるを得ません。

「がんでなかったのだから安心」ではすまされないと思います。

乳がんのケースで、確定診断を経て乳房を切除してしまったとします。

切除後にがんでないことが分かったとしても、乳房がひとつなくなっているわけですから、これも簡単にすまされるものではありません。

しかし、がんもどきをがんと誤診し治療行為を行ってしまったのだから当然に医療過誤になるとは言い切れないことが問題を難しくしています。

通常、がん治療において、がんであるという確定診断を経ることが前提となっているので、「がんかもしれない」という診断で治療行為がなされることはありません。

そうすると、確定診断に誤りがあったのだから、医療過誤になると言えそうですがそうとは限らないのです。

細胞診を経て確定診断をしたようなケースであっても、がんであることが100%確実とは言えないのが現代の医療の現実なのです。

細胞診の確定診断の適否をめぐって、高度な医学論争になることも珍しくありません。

がんもどきと医療裁判

まず、原告の請求が認められた判例を紹介します。

ひとつは東京地判平成23年5月19日です。

この事案は、胃がんと診断されて胃の全摘出術を受けたが、後に胃がんでないことが判明したというものです。

組織生検の結果、異型細胞のシート状の増生を認める低分化がんという確定診断がありましたが、その後の内視鏡検査で通常の胃がんでは見られないような形態変化を来していました。

裁判所は、このような場合には病理診断の結果を絶対視することなく、外科的手術に先立ち、病理医と相談して再検討すべき注意義務を負うとしました。

もうひとつ、原告の請求が認められた名古屋地判平成15年11月26日を紹介します。

この事案は、乳がんと誤診されて乳房温存療法を受けてしまったというものです。

専門医(大学教授)の診断により乳がんであるという確定診断が下されたのですが、担当の主治医自身はがんであることを疑っていたという事情が背景としてありました。

なぜそのような疑いを主治医が持ったのかというと、乳腺エコーで腫瘤陰影が認められたものの、悪性腫瘍に典型的な石灰化が認められなかったからです。

この点について、裁判所は、専門医の診断を鵜呑みにすることなく、より慎重に良性か悪性かを鑑別するために生検を行うべき注意義務があったとしています。

では、原告敗訴の事案はどうでしょうか。

東京地判平成23年12月22日は、肺がんでない患者に対し、開胸手術により肺葉を切除してしまったというものです。

この事案では、先に挙げた原告勝訴の2判例と違って、がんを積極的に疑うような検査結果が得られていませんでした。

確かに、骨シンチや胸部単純X線写真では、がんを疑わせる積極的所見は認められなかったのですが、「がんではない」という疑いを抱かせる積極的所見があったわけではありませんでした。

そうすると、他の検査によってがんであることが強く疑われてしまうと、がんであるという診断結果が出されてしまいます。

以上の3つの判例をまとめると、裁判所が原告を勝訴させた事案は、がんを否定するような何らかの所見があった場合です。

そのような所見がなければ、患者側が勝訴することは難しいのかもしれません。

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