【解決事例】絞扼性イレウスの診断・治療の遅れ「4000万円で和解が成立」

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解決事例.2 絞扼性イレウスの診断・治療の遅れ

【事案の概要】

患者は急激な腹痛を訴え、大規模病院で診察を受けました。

主治医は、当初から絞扼性イレウスを疑いましたが、なかなか確定診断ができず、最終的に開腹手術に踏み切ったところ、絞扼性イレウスだと分かったのです。

絞扼は解除されたところ、既に腸管が一部壊死していたため、それを切除したが、治療の甲斐なく患者は死亡しました。

本件では、絞扼性イレウスが疑われたにもかかわらず、造影CTが実施されていませんでした。

また、敗血症のSIRS基準も満たし、臨床所見から死亡原因は、bacterial translocationによる敗血症である可能性が高いと思われました。

もっとも、病理解剖はしておりません。

協力医の意見は、絞扼性イレウスを疑った時点で造影CTを実施していれば、もっと早期に開腹手術に移行できたとして、医療機関に過失ありというものでした。

また、協力医からは法廷で証言してもらえることも確約が得られ、自信をもって提訴に踏み切ることができました。

【解決のポイント】

本件では、診療記録から絞扼性イレウスを疑える所見が認められるので、その時点で造影CTを実施すべき注意義務があると主張しました。

そして、この時点で造影CTを施行していれば、早期に開腹手術に踏み切ることができたはずであり、そうすれば腸管を壊死させることもなく、患者を死亡させることもなかったとして、医療機関側の過失との因果関係も認められると主張しました。

この事件では、協力医の意見書が決定的意味を持ちました。

被告は造影CTを施行する義務はないとして過失を争ってきましたが、協力医に言わせると、他の所見から確定診断がつかなければ造影CTを実施するのは医師として当然のことであるというのです。

つまり、ここで造影CTを撮るのは医療水準であるということです。

患者側にとっては、敗訴リスクが低い事件であり、和解ではなく判決でもよいと考えていたところ、4000万円の高額和解となりました。

ほぼ、原告の請求を丸呑みするような和解額です。

医療事業部 担当弁護士の解決結果に対するコメント

これまで様々な医療裁判を手がけてきましたが、急性腹症の中では、特に絞扼性イレウスの診断・開腹手術の遅れが原因で患者が死亡したという医療紛争が多いという印象です。

なので、医療事件を手がける弁護士としては、この疾患はしっかり勉強しておく必要があると思います。

ところで、この事例では協力医の意見書が内容的にも優れていて、大変頼もしかったです。

加えて、法廷にも立っていただけるということだったので、かなり勝算が見込まれました。

まさに、鬼に金棒です。しかし、ここまで条件が揃っている医療裁判のほうがむしろ希です。

協力医の協力が限定的で、意見書の内容も消極的であるなど、医学文献で立証活動をしていくしか方法がない場合も多いことを忘れてはならないと思います。


文責:弁護士法人ALG&Associates
医療事業部長

代表社員・弁護士 金﨑浩之

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