【解決事例】アナフィラキシーショックと診断・治療の遅れ

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解決事例.5 アナフィラキシーショックと診断・治療の遅れ

【事案の概要】

診療所で抗菌薬投与後、アナフィラキシーショックとなり、高次医療機関に救急搬送されたが、死亡した事案。

アナフィラキシーショックの第一選択薬として、アドレナリン(ボスミン)の投与をするのが通常であるが、救急搬送までにアドレナリン投与がなされていなかった事案です。

この事例は、当初、ほかの法律事務所の弁護士さんが受任し、かつ訴訟提起されていたという事情があります。

当初の弁護士さんは、注意義務として、アナフィラキシーショックに対応するため、様々な器具、薬品を準備すべき義務という注意義務を設定していたようです。

これに対し、被告は、診療所レベルでは、そのような器具、薬品は普及していないという反論を行っていました。

さらに、その弁護士さんは、弁護士会照会をも利用して、器具、薬品の普及の程度を調査していたようでしたが、回答がなされないため、立証に苦労していた様子です。

そのような中で、裁判所から見舞金(100万円ぐらい)で和解の可能性が示唆されたということでした。

【解決のポイント】

当初の弁護士さんが辞任し、我々が代理人となってから、戦術の練り直しです。

そもそもアナフィラキシーショックにおいては、アドレナリンの投与が重要です。

これは、アナフィラキシーショックに対する治療の基本中の基本です。

そして、アドレナリンが功を奏さなかった場合には、グルカゴンという薬が第2選択薬として考慮されます。

そこで、アナフィラキシーショックに対して、アドレナリンを投与すべき義務と注意義務を構成しました。

その際、別件で利用した医学文献を大量に証拠として提出しました。

我々には、別件でアナフィラキシーショックの医療裁判の経験値があったからです。

また、期日間に別件でお世話になった本件とは別の協力医と面談し、因果関係(予後)についての医学的知見を享受しいただき、予後に関する医学的文献を教えてもらい、それを利用した立証活動を行いました。

当初、裁判所としては、当然因果関係がないような前提で和解の可能性を探っていたのですが、因果関係に関する証拠を提出した段階で、死亡したことを前提とする和解交渉となりました。

そして、最終的には、2500万円で和解が成立したのです。逆転的な勝訴的和解です。

医療事業部 担当弁護士の解決結果に対するコメント

どこに立証の重点を置くかで、裁判所の心証が大きく変わることを実感した事件でした。

特に、注意義務の設定次第で、立証方法、その後の心証は大きく変わると実感しました。

特に、別件でアナフィラキシーショックの事案を経験したことがあったことも本件の解決に影響しており、経験の重要性を痛感しました。

なお、和解がまとまらない場合は、意見書による提出も視野に入れていましたが、結局、意見書を提出せずに和解がまとまったのでほっとしました。

医学文献だけでもかなりの程度を立証でき、勝訴的な和解をまとめることが可能であることを物語る事例です。

中には協力医の意見書に依存した訴訟活動しかできない弁護士もいるので注意が必要です。


文責:弁護士法人ALG&Associates
医療事業部長

代表社員・弁護士 金﨑浩之

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