【解決事例】亀頭増大手術の際の持続勃起症放置による陰茎海綿体平滑筋壊死「400万円の和解金」

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解決事例.8 亀頭増大手術の際の持続勃起症放置による陰茎海綿体平滑筋壊死

【事案の概要】

Bさんは、亀頭増大を目的として、ヒアルロン酸を陰茎部に注入する手術を受けました。

手術直後から、陰茎勃起状態が生じたものの、医師からは、自然に収まる等の説明がなされたため、Bさんは、そのまま帰宅し、様子を見ていました。

しかし、その後も、全く変わらない状況であったため、数日後、他院で診てもらったところ、虚血性持続勃起により、陰茎海綿体が既に壊死していると告げられました。

陰茎海綿体は勃起機能を果たす組織であるため、Bさんは、二度と勃起しない体となってしまったわけなのです。

性交渉の質的向上を目指して亀頭増大手術を受けたにも拘らず、逆に勃起不全状態に陥った心境は、男性の方なら、どれ程の精神的ショックか容易に予測できるでしょう。

Bさんは、その後、陰茎プロステーシス手術を受け、陰茎内に人工物を埋入させることで、陰茎海綿体の機能を代替させる措置をとるより他ありませんでした。

しかし、これは、無理矢理、パイプのようなもので陰茎を引き延ばしているだけなので、勃起のように陰茎が硬くなるわけではありません。

当然ながら、Bさんの落胆と怒りは、持続勃起症を生じさせた医師に向きました。

もっとも、医師は、自身の責任を認めようとはせず、当方が介入して、示談交渉することとなったのです。

【解決のポイント】

持続勃起症には、静脈性と動脈性があり、後者の場合、十分酸素を得た血液が陰茎海綿体に集まることで勃起する状態のため、時の経過で収まるものであり、緊急対処の必要性がありません。

これに対し、前者は、陰茎海綿体内を走る静脈が何らかの理由で閉塞することで、血液が引いて行かないままの勃起状態が継続するものです。

静脈内の血液は、酸欠状態ですから、そのまま酸素のない血液が滞留し、動脈血から酸素が送り込まれない事態が続くと、酸欠から来る海綿体組織の壊死が始まります。

それゆえ、静脈性持続勃起症を発症した場合、酸欠の滞留静脈血を抜かない限り、6時間後から陰茎海綿体が壊死し始め、24時間放置すると、全組織に壊死が広がり、器質性勃起不全となってしまいます。

このことは、泌尿器科医の常識的事項です。

そうであるのに、その医師は、上記知識がなかったのか、手術直後の持続勃起をみても、自然に収まると考えたり、その後の同状態継続の相談に対しても、経過観察を勧めるなどしてしまったわけなのです。

そして、当方が示談交渉を始めたところ、医師は弁護士を立てて、過失部分から争ってきました。

持続勃起症の原因がBさんのバイアグラやEDサプリメント服用にあるとの主張をしてきたのです。

そこで、当方は、Bさんと相談し、協力医の力を借りることとしました。

協力医の鑑定意見書は、バイアグラが動脈性持続勃起症の原因となりえても、静脈性持続勃起症を招来しないことやEDサプリメントは持続勃起症を来したとの報告自体がないといったこと、また、本件で、注入したヒアルロン酸が亀頭部分の深陰茎背静脈ないし陰茎皮下付近の浅陰茎背静脈を閉塞し、海綿体組織壊死を招いた機序などを明快に説明してくれていました。

これにより、400万円の和解金による示談が成立したのです。

医療事業部 担当弁護士の解決結果に対するコメント

美容外科分野は、一般的な疾患治療とは異なり、一定の結果を得ることが目的となっているため、思うような状態になっていないという不満を患者が抱くトラブルが多いようです。

ただ、その不満が弁護士を入れてでも、責任追及したいとなると、手術前と変わらないではないかというだけでは、弁護士費用と賠償額が見合いません。

ところが、本件のように、予定した結果が得られないだけではなく、手術でより一層悪い状態を招来してしまったという場合、これはもう、一般の疾患の医療過誤と異ならない深刻な問題となるわけです。

もっとも、美容一般にみられる傾向として、この分野のカルテは、概略的記載にとどまることが多く、医師の過失立証の材料として余り役立ちません。

このため、患者にこのような結果が生じていることからして、医師は、こういう手技をして、その手技からこういう機序で傷害、障害を発生させたとの推論をいかに説得的に主張立証し、他の可能性の抗弁を封じることができるかが鍵となります。

そして、その推論は、一般的医学文献等で構築するよりも、やはり、専門家である医師が、本件の個別具体的な事情に即して見解を述べてくれる鑑定意見書があればより強固となるのは、言うまでもないことなのです


文責:弁護士法人ALG&Associates
医療事業部長

代表社員・弁護士 金﨑浩之

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