【解決事例】穿頭血腫洗浄ドレナージ術の際の脳実質損傷「2000万円で示談が成立」

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解決事例.9 穿頭血腫洗浄ドレナージ術の際の脳実質損傷

【事案の概要】

Cさんは、凍結していた路面で転倒し、後頭部にコブができたものの、特にその他の症状が現れることはありませんでした。

ただ、念のため、病院で頭部CT検査をしたところ、急性硬膜下血腫、脳挫傷等の疑いで入院することとなりました。

しかし、頭部の血腫は縮小していったため、いったん退院して様子をみました。

ところが、受傷がから2か月後にMRIをとった際、医師から、慢性硬膜下血腫と診断され、即時の手術を勧められました。

そこで、Cさんは、急遽、穿頭血腫ドレナージ術を受けることとなったのです。

この手術は、脳外科の手術の中でも危険性が低いものとされていましたが、Cさんは、同手術終了後、言語障害や記憶障害が出現し、重篤な後遺障害を抱えることとなってしまいました。

医師は、当初、合併症によるものである等、弁解に終始し、損害賠償の話に進みませんでした。

それゆえ、双方が弁護士を立てて、話し合うこととなったのです。

【解決のポイント】

慢性硬膜下血腫は、軽微な頭部外傷が原因であることが多く、受傷後3週間から数か月経って発症するという特徴があります。

脳の表面と硬膜を繋ぐ橋静脈が傷ついてゆっくりと出血しますが、脳実質に損傷がない場合が殆どです。

このため、この疾患が確認されても、頭痛、嘔吐等の自覚症状も現れない軽微な場合、血腫内容液に対し、浸透圧利尿剤を用いて排出させる保存的薬物療法も有用とされています。

Cさんに自覚症状が現れていなかったことからすれば、この方法を採ることも一つの選択肢として考えられました。

しかし、医師は、手術療法しか説明せず、結局、穿頭血腫ドレナージ術を実施することとなったのです。

これは、頭蓋骨に約1cmの穴を空け、チューブを差し込んで血種を吸引した後、血種腔を生理的食塩水で洗浄するというものです。

比較的、手技に困難な点がなく、研修医レベルでも実施可能な手術に分類されています。

ところが、本件で事故が起きてしまったのは、協力医の意見によれば、チューブを挿入した際、何らかの原因で、硬膜のみならず、その下のくも膜や軟膜を貫通し、脳実質を傷付けたとしか考えられないとのことでした。

そこで、この協力医の意見を基に、病院側と交渉を重ねたところ、過失の点を真っ向から争っては来ず、多少、後遺障害の程度の争いで時間が掛かったものの、最終的には、2000万円で示談が成立しました。

医療事業部 担当弁護士の解決結果に対するコメント

この事例では、協力医に鑑定意見書を作成してもらうことはしなかったのですが、病院側の弁護士との交渉にあたっては、常に、「協力医の先生の話では」との言葉を出し、弁護士レベルの考えで述べているわけではないという印象を与えるよう心掛けていました。

その結果、医学的論争を書面で応酬する手間をかけることなく、少ない労力で、比較的高額の和解金を得ることができたと思いました。

病院側も、初め、当事者に対しては、合併症によるものとの説明をしていたことからすれば、患者側の対応次第では、そもそもの過失責任の否認に回った可能性も否定できない事案でした。

医学的争点の書面作成には、調査等の時間も併せると多大な労力を要するのが通常ですから、病院側が過失責任を争ってくるか否かは、弁護士にとってかなり重大な問題となるのです。

多くの事例は過失の有無が問題となるとしても、なるべく、入口の段階で認めてもらうよう、適宜、協力医の力を借りることも意識する必要があるのです。


文責:弁護士法人ALG&Associates
医療事業部長

代表社員・弁護士 金﨑浩之

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