【妊娠について】妊娠の基礎知識 | 医療事故 医療過誤 / 弁護士法人ALG&Associates

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妊娠の基礎知識

妊娠の基礎知識

総論

妊娠は、排卵、受精、着床により成立し、分娩で終了します。

妊娠期間は、最終月経日より起算し、正常妊娠持続日数は280日(40週0日)です。

妊娠15週迄を妊娠初期、妊娠16週から27週迄を妊娠中期、妊娠28週から40週迄を妊娠末期とし、21週目迄に胎児が死亡してしまうと流産、21週から37週迄に生まれると早産、37週から42週迄に生まれると正期産、42週以降は過期産と区別されます。

妊娠の診断法

妊娠の早期診断は、①胎盤組織から分泌されるhCGの尿中への出現を検査する方法、②基礎体温の高温相の推移から診断する方法、③超音波検査により診断する方法が一般的です。

①は、胎盤絨毛組織から分泌され、血中から尿中に移行するヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を検査するものであり、市販されている妊娠検査キットはこの方法を用いています。

②は、無月経で、高温相が20日以上持続していれば、原則として、妊娠と診断できます。

③は、胎児成分を直接的に確認する方法であり、妊娠の初期は、経腟超音波検査により、胎嚢、胎児像、胎児心拍動、胎動を観察します。

正常妊娠の場合には、胎嚢が妊娠4週末より子宮腔内に観察でき、妊娠が更に進行すると胎児像が観察されるようになります。

妊娠中の問題

(1) 流産・切迫流産

ア 流産
① 定義

流産とは、妊娠21週と6日までに妊娠が中断された場合を総称します。

妊娠の約15%は流産に至りますが、早期流産(妊娠12週未満)は染色体異常、後期流産(妊娠12週以降)は母体側因子によることが多いようです。

② 分類

自然流産は、病態として、稽留流産(胎児が子宮内で死亡しているが、症状がない状態)、進行流産(出血や下腹痛が出現して胎児や胎盤などの子宮内容物の排泄が始まり、流産を止めることが困難な状態)、完全流産(子宮内容物が完全に排出された状態)、不全流産(子宮内容物の一部が子宮内に留まっている状態)に分類されます。

③ 治療

早期流産の治療は、早期の子宮内容除去手術、後期流産の場合は、子宮収縮による内容物排出が行われることが多いです。

イ 切迫流産
① 定義

切迫流産とは、正常妊娠に復帰する可能性を持った流産への移行状態であり、胎児や胎盤などの子宮内容物が排出されていない状態で性器出血を伴う場合をいいます。

切迫流産の原因としては、子宮中隔や双角子宮などの子宮奇形、子宮筋腫、頸管無力症など子宮の構造や機能異常、血液凝固能の異常、甲状腺異常等の内分泌疾患、自己免疫疾患、感染症等母体側因子によることが多いようです。

② 治療

切迫流産の治療は、止血薬や子宮収縮抑制薬などの薬物療法もさることながら、安静が最も重要になります。

後期の切迫流産には、子宮収縮の抑制の他、絨毛羊膜炎の予防等も必要になります。

(2) 子宮外妊娠

ア 定義

子宮外妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外の場所に着床することをいい、卵管膨大部へ着床する卵管妊娠が大部分を占めています。

受精卵が子宮以外の部位に着床すると、子宮内膜とは異なり十分な発育を行えないため、早期に流産に至ります。

また卵管のような狭小で伸展不良の器官では、卵管壁の断裂或いは破裂が生じ、腹腔内出血でショック状態に陥ることもあります。

イ 診断

子宮外妊娠の診断方法としては、①超音波断層法や、②hCG測定法があります。

①は、経腟超音波装置では、一般に正常妊娠の場合、妊娠5週目ころから子宮内に胎嚢が認められるようになり、6週目までには、ほぼ100%確認可能となります。

従って、6週以降に胎嚢が認められなければ、子宮外妊娠が疑われることになります。但し、この診断法単独で診断を下すのではなく、次のhCG測定法を併用することが多いです。

②は、絨毛細胞より産出される胎盤性蛋白ホルモンである。

受精卵の着床時期から測定可能であり、妊娠の進行とともに漸増し、妊娠9週から10週目ごろに最高値となる。

そして、正常妊娠で子宮内に胎嚢が確認できない場合の尿中及び血中hCGの最高値は、それぞれ320IU/l、300mIU/mlである。

このことから、もしこれ以上の値で子宮内に胎嚢が確認できない場合は、子宮外妊娠が疑われます。

ウ 治療

以前は、開腹による卵管切除術が一般的に行われてきましたが、近年になり、腹腔鏡下手術が急速に普及し、線状切開、圧出等、新しい治療法が行われるようになっています。

(3) 妊娠高血圧症候群(PIH)

ア 定義

何らかの原因によって妊娠中に高血圧が起こる、または高血圧に加え母体の血管障害や様々な臓器障害が発生する全身性の症候群をいいます。

全妊娠中、10%程度発症し、母体死亡、周産期死亡の主な原因となります。

PIHは、高血圧が見られ始める時期、蛋白尿の有無、痙攣発作の有無等から、①妊娠高血圧、②妊娠高血圧腎症、③加重型妊娠高血圧腎症、④子癇といった病型に分類されます。

イ 診断

妊娠20週以降、分娩後12週迄の期間に、高血圧又は高血圧に蛋白尿を伴い、かつ、これらの症状が単なる偶発合併症によらない時は、妊娠高血圧症候群と診断します。

妊娠高血圧症候群は、遺伝的因子、胎盤形成障害、免疫学的異常、血管内皮障害、プロスタグランジン代謝異常、エンドセリン等の関与、脂質代謝異常、カルシウム代謝異常、血液凝固線溶系異常、レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系異常、自律神経系異常など複数の原因が相互に関連しています。

ウ 治療

治療の基本は、妊娠の中断です。

ただし、児が未熟な場合は妊娠を継続し、①安静・食事療法、②薬物療法(降圧薬、硫酸マグネシウム)等を行います。

(4) 前置胎盤

ア 定義

前置胎盤とは、胎盤の一部又は大部分が子宮下部に付着し、内子宮口に及ぶものをいいます。

妊娠中期から、無痛性の外出血をきたしやすく、妊娠30週以降は入院させて自己血を準備し、予定帝王切開が望ましいといえます。

なお前置胎盤は、①胎盤が内子宮口を完全に覆う「全前置胎盤」、②胎盤が内子宮口の一部を覆う「部分前置胎盤」、③胎盤下縁が内子宮口に達している「辺縁前置胎盤」の3つに分類されます。

イ 前置胎盤の問題点

前置胎盤は、分娩第1期における胎盤剥離面からの出血、癒着胎盤による出血・感染、弛緩出血等の母体に対する危険がある他、胎児に対しても、早期産、低出生体重児、胎児機能不全、新生児仮死といった危険があります。

ウ 前置胎盤の場合に要する管理・治療

無痛性の出血がある場合には、入院・安静管理を必要とします。

出血がなくても妊娠30週以降は、大量出血の場合に適切な処置がとれるようにする為、入院させます。

全前置胎盤や部分前置胎盤の場合には、出血の増量がなければ、妊娠37週以降に選択的帝王切開を行いますが、辺縁前置胎盤又は低置胎盤では、経膣分娩もありえます。

(5) 常位胎盤早期剥離

ア 定義等

常位胎盤早期剥離とは、妊娠20週以降で、正常位置付着胎盤が胎児娩出以前に胎盤の組織又は血管の一部に破綻をきたし、出血により子宮壁から部分的又は完全に剥離し、重篤な臨床像を呈する症候群をいいます。

産科DICの主たる原因を占め、妊産婦や胎児死亡の原因となります。

とりわけ、内出血型は胎盤後血腫を形成し、子宮内圧が亢進し、早期にDICを併発します。

いずれにせよ、放置すれば、100%DICに移行する為、早期診断・治療が大原則となります。

イ 原因等

常位胎盤早期剥離の直接の原因は解明されておらず、発症の予知・予防は困難ですが、従来は、妊娠高血圧症候群が、常位胎盤早期剥離の原因として重要視されてきました。

また、絨毛膜羊膜炎による早産や切迫早産に合併することも多く見られます。

ウ 診断

急激な下腹部痛が見られ、外出血は少量又は見られないにも関わらず貧血が進行し、子宮壁は板のように硬く、圧痛が著明で、超音波検査にて胎盤異常所見(肥厚像や子宮壁との間のecho free space)を認め、胎児心拍数陣痛図にて遅発一過性徐脈などが認められるときは、常位胎盤早期剥離を疑います。

エ 治療

常位胎盤早期剥離の診断がついた時点で胎児が生存していれば、分娩適応となるので、子宮口全開大か否かで、経腟分娩又は帝王切開を考えます。

胎児死亡の場合には、母体の全身状態や子宮口の状態に応じて分娩様式を決定します。

常位胎盤早期剥離に起因するDICは急性であり消費性凝固障害(凝固因子と血小板が枯渇し、出血を止められなくなる状態)が著しい為、DICが生じている場合には、まずこの治療を優先します。

妊娠具体例

微弱陣痛と陣痛促進剤の投与 胎児が骨盤位の場合の分娩と… 鉗子分娩の手技と医療過誤 常位胎盤早期剥離と胎児の死亡 羊水塞栓症を原因とするDICと… 帝王切開術後の出血性ショック… 出産後の問題である「核黄疸」

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