【具体例】胎児が骨盤位の場合の分娩と説明義務違反 | 医療事故 医療過誤 / 弁護士法人ALG&Associates

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胎児が骨盤位の場合の分娩と説明義務違反

胎児が骨盤位の場合の分娩と説明義務違反

骨盤位とは

骨盤位とは、胎児の先進部が後頭部ではなく骨盤部となる胎位をいいます。いわゆる逆子です。

妊娠中期までは、30%~50%程度が骨盤位ですが、大半は分娩時までに頭位(胎児の先進部が後頭部である胎位)になります。

骨盤位の場合の分娩方法

骨盤位の場合、経腟分娩だと、前期・早期破水や、臍帯の圧迫や脱出、遷延分娩が起こりやすいという問題があります。

特に、臍帯の圧迫で血流が遮断されると酸素血漿、アシドーシス、胎児機能不全が起きるリスクが生じます。

また、骨盤位だと先進部が児頭でない為、産道の湾曲に適合しない為、遷延分娩が発生しやすく、微弱陣痛や胎児機能不全を引き起こしやすいのです。

従って、経腟分娩は、

①殿位であり、②X線写真上、骨盤の形態異常がなく、③胎児骨盤不均衡がなく、④児頭の過伸展がなく、⑤児の推定体重が1500g以上、3800g以下、⑥臍帯下垂がなく、⑦胎児機能不全の兆候もない

といった条件を全て満たさない限り行うべきではなく、帝王切開を選択すべきとなります。 また経腟分娩か、帝王切開かという選択は、骨盤位の胎児の生命にも関わる問題であることから、原則として、妊婦に対する十分な説明義務が尽くされた上で、妊婦の決定に委ねられるべきこととなります。

判例(最高裁平成17年9月8日判決)

本件は、胎児が骨盤位であることなどから、帝王切開術による分娩を強く希望していた被害者夫婦に対し、担当医が骨盤位の場合の経腟分娩の危険性や帝王切開術との利害得失について十分に説明しなかった為、分娩方法について十分に検討した上で意思決定をする権利が奪われ、帝王切開術による分娩の機会を失い、胎児が仮死状態で娩出され4時間後に死亡したという事案です。

この事案について、最高裁は、

①被害者夫婦は、胎児が骨盤位であることなどから、帝王切開術による分娩を強く希望する旨を担当医に伝えていること、

②その意向には医学的見地に照らし、相当の理由があること、

③担当医は、一般的な経腟分娩の危険性について一応の説明はしたものの、胎児の最新の状態と経腟分娩の選択理由を十分に説明しなかった上、分娩中に何か起こったらすぐにでも帝王切開術に移れるから心配はない等と異常が生じた場合の経腟分娩から帝王切開術への移行について誤解を与えるような説明をしたこと、

④このような事情の下、担当医の説明は、被害者夫婦に対して胎児の最新の状態を認識し、経腟分娩の場合の危険性を具体的に理解したうえで、担当医師の下で経腟分娩を受け入れるか否かについて判断する機会を与えるべき義務を尽くしたものとはいえないと判断しました。

妊娠具体例

微弱陣痛と陣痛促進剤の投与 胎児が骨盤位の場合の分娩と… 鉗子分娩の手技と医療過誤 常位胎盤早期剥離と胎児の死亡 羊水塞栓症を原因とするDICと… 帝王切開術後の出血性ショック… 出産後の問題である「核黄疸」

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