【相談事例】肺炎「診断された その翌日に他界」 | 医療事故 医療過誤 / 弁護士法人ALG&Associates

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相談事例.3 肺炎「診断された その翌日に他界」

〔相談内容〕

母が高熱で救急搬送され、検査の結果、肺炎と診断されました。

そして、入院となり、肺炎の治療を受けることになったのです。

約1ヶ月間、抗生物質の投与などの治療を受け、良くなったという説明を主治医の先生から受けて、その病院を退院し、リハビリ目的でほかの病院に入院となりました。

てっきり肺炎は治ったものと安心しておりました。

ところが、リハビリ目的で入院した病院で、再び母の体調が悪くなり、また肺炎をぶり返したのではないかと不安に感じました。

そして、入院して約2週間後に母の容態が急変し、胸のレントゲン写真を撮ったところ、肺炎と診断され、その翌日に他界してしまったのです。

最初に入院した病院の医師からも、リハビリ目的で入院した病院の医師からも、母が死亡するかもしれないほど重症の肺炎であるという説明を受けていなかったので、こんな事態になるとは夢にも思わず、大変驚いております。

納得できない私は、2人の医師に説明を求めました。

最初の病院の先生は、「ボクはちゃんと治療し、肺炎を治したと考えている」と回答、次の病院の先生は、私の質問に対して怒りだし、まともな回答をしてもらえませんでした。

後の病院で撮られたレントゲン写真は、母が死亡する前日に撮られたもの1枚だけだそうです。

このような母の死には到底納得できません。

最初の医師に問題があったのか、次の病院の医師に問題があったのか、あるいはどちらの医師にも問題はなかったのかは分かりませんが、徹底的に調べて欲しいと思います。

なお、母の病理解剖はしておりません。

〔弁護士の回答〕

肺炎は、発症場所との関係で大きく分けると、市中感染による肺炎と、院内感染による肺炎に分かれます。

また、原因微生物との関係では、細菌感染による典型的な肺炎と、ウイルス感染やマイコプラズマ、レジオネラなどの非定型的肺炎に分かれます。

お母さんのケースでは、高熱で病院に搬送されて肺炎と診断されているので、市中感染と考えて間違いないと思います。

市中感染であれ、院内感染であれ、肺炎の場合に原因微生物として最も多いのは、肺炎球菌のようです。

肺炎球菌は、基本的にペニシリン系の抗菌薬で治せるそうですが、ペニシリン耐性の肺炎球菌もあります。

患者さんの予後との関係では、あくまでも一般論ですが、市中感染よりも院内感染の方が悪いと言われています。

その理由は、院内感染の場合、患者さんに肺炎以外の何らかの基礎疾患があって免疫力も低下していることや、耐性菌の頻度も上がるために難治性の感染症になりやすいことにあるようです。

もっとも、MRSAを原因微生物とする市中感染の報告もありますので、お母さんの肺炎が耐性菌ではなかったとは断定できません。

この症例の原因微生物が何であったか、またお母さんの肺炎の重症度がどの程度であったかは、カルテ等の診療記録が手元にありませんので何とも言えませんが、治療経過を見る限り、前医の診断と治療には問題がなかったように見えます。

後医の先生は、患者さんが死亡する前日までレントゲン写真も撮っていなかったということですから、こちらのほうが問題は大きそうな印象です。

前医、後医の診療記録を全て取り寄せて解析する必要があると思います。

〔転帰〕

前医、後医の診療記録を全て解析したところ、前医の診断・治療については問題なさそうであるというのが協力医の評価であった。

画像上も肺炎の浸潤影は消失しており、治療が奏功していると評価できた。

しかし、後医に関しては、死亡前日のX線写真以外に全く検査所見が存在しなかった。

血液ガス検査も生化学検査もなされておらず、入院から死亡までの臨床経過が全く分からないという内容であった。

入院時に鼻腔からMRSAの保菌が確認されているが、これが患者の肺炎の起炎菌かどうかは判然としない。

後医については過失を問題にでき余地はあるものの、予後を評価する材料に乏しく、因果関係の立証は必ずしも容易ではないと思われた。

敗訴リスクも低くはないため、訴訟提起はせず、本件は医療調査で終了となった。

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